LMS(学習管理システム)について、わかりやすく説明します。
通信制大学で学んでいる方にはおなじみですね。
写真:日本ムードル協会のカンファレンス 2024
LMSの基本
LMS(学習管理システム)は、教育コースやトレーニングプログラムの管理、配信、追跡を行うためのソフトウェアアプリケーションです。
教育機関や企業がオンラインでの学習を効率的に行うためのプラットフォームを提供します。
利点
アクセスの容易さ: いつでもどこでも学習が可能。
コスト削減: 教室や教材の物理的なコストを削減。
学習の追跡と報告: 学習者の進捗をリアルタイムで追跡し、レポートを生成。
エンゲージメントの向上: インタラクティブな要素(クイズ、ディスカッションボードなど)で学習者の関与を高める。
タイプ
クラウドベースLMS: インターネット接続があればどこからでもアクセス可能。
セルフホステッドLMS: 組織のサーバーにインストールして使用。
代表的な教育機関向けLMS
Canvas: 高度なカスタマイズと統合機能を持つLMS。※近年人気
https://moodlejapan.org/course/view.php?id=99
Moodleの概要
Moodleは、教育者や学習者がオンラインでコースを作成し、管理するための無料かつオープンソースの学習管理システム(LMS)です。Moodleは、PHPで書かれており、GNU General Public Licenseの下で配布されています。このシステムは、ブレンディッドラーニング、遠隔教育、反転授業など、さまざまな教育プロジェクトで使用されています。
日本で一番活用されているのはMoodleです。開発コンセプトが大学の対面授業をサポートすることでした。熱心な(教員のいる)大学ではMoodleが使われていました。システムに詳しい先生が、自分の授業にMoodleを導入し、それが全学へと広がるイメージです。その後、コロナ禍の遠隔授業で日本の大学全体へと広がっていきました。
https://docs.moodle.org/404/en/Installation
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開発の歴史
初期の開発とリリース
1999年: Moodleの創設者であるマーティン・ドゥーギアマスが、新しいLMSの初期プロトタイプの開発を開始しました。
2001年: 最初のMoodleサイトが西オーストラリアのカーティン大学で作成され、同年11月にMoodle.comに最初の投稿が行われました。
2002年: 8月にMoodle v1.0がリリースされました。
成長と拡大
2003年: Moodle.orgが設立され、コミュニティの中心となりました。
2004年: 初のMoodleMootがオックスフォードで開催されました。
2008年: Moodleは50万人以上のユーザーを持つ主要なLMSとして確立されました。
2010年: Moodle v2.0がリリースされ、ユーザー数は100万人に達しました。
2013年: Moodle Mobile Appがリリースされました。
2015年: Moodle Cloudが導入されました。
2017年: 登録ユーザー数が1億人を超えました。
最近の進展
Moodleの哲学とコミュニティ
Moodleの開発は、教育者と学習者が教育体験を共同で構築するための環境を提供することを目的としています。Moodleの哲学は、構成主義と社会構成主義のアプローチに基づいており、学習者が教育体験に貢献できることを強調しています。Moodleは、オープンソースの哲学に基づいており、無料でダウンロード、修正、共有することができます。これにより、教育技術への自由でオープンなアクセスが可能となり、より公平な世界の実現に貢献しています。
Moodleはオープンソースの学習管理システム(LMS)として広く利用されていますが、商用LMSと比較すると多くの問題や課題が存在します。
Moodleの問題点
1. カスタマイズとメンテナンスの負担
Moodleの問題点: Moodleは高度にカスタマイズ可能ですが、その分、技術的な知識が必要です。設定、メンテナンスの担当者の負担が大きく、大学組織ではこれが大きな問題となります。
商用LMSの利点: 商用LMSはベンダーが提供するサポートやメンテナンスが含まれており、技術的な負担が軽減されます。これにより、教員は授業コースの運用に集中することができます。
2. ユーザーインターフェースと使いやすさ
Moodleの問題点: Moodleのデフォルトのインターフェースは洗練されておらず、学習曲線が急(途中からマニュアル必要)であるため、初心者には使いにくいと感じられることがあります。
商用LMSの利点: 商用LMSは親しみやすいユーザーインターフェースを提供しており、直感的に操作できるため、導入後すぐに利用を開始できます。
3. 技術サポートの制限
Moodleの問題点: Moodleの技術サポートは主にコミュニティフォーラムやドキュメントに依存しており、緊急時の対応が難しい場合があります。
商用LMSの利点: 商用LMSは24/7のサポートを提供することが多く、問題が発生した際に迅速に対応できる体制が整っています。
4. モバイル最適化
Moodleの問題点: Moodleはモバイルに一応対応していますが、デスクトップ版と比べてユーザーエクスペリエンスが劣ります。
商用LMSの利点: 商用LMSは最初からモバイルデバイスでの使用を前提に設計されており、シームレスなユーザーエクスペリエンスを提供します。
5. コストとライセンス
商用LMSの問題点: 商用LMSはライセンス費用が高額になることが多く、特に大規模な組織ではコストが大きな負担となることがあります。
https://www.forbes.com/advisor/business/best-learning-management-systems/
まとめ
Moodleは、その柔軟性、使いやすさ、コスト効率の高さから、教育機関や企業で広く利用されています。Moodleの成功は、創設者マーティン・ドゥーギアマスの哲学に賛同するグローバルなコミュニティの協力によって支えられています。
一方で、情報系の教員でないととても使いこなせない現状があります。
https://comparlify.com/kajabi-vs-teachable-vs-thinkific/
【リベラルアーツの学校】開校への準備として、3つのLMSに実際に教材を作成しながら、機能やユーザビリティの比較をしています。