放送大学などの通信制大学における対面授業の役割や効果について説明します。
写真:山梨大学ワイン科学研究センター (山梨大学 2024)
通信制大学における対面授業の役割
1. 対面授業(スクーリング)の定義と目的
通信制大学における対面授業、通称「スクーリング」は、学生がキャンパスや指定された会場に集まり、教員から直接授業を受ける形式の授業です。スクーリングの主な目的は以下の通りです:
知識の深化:教員から直接指導を受けることで、教材やオンライン授業では得られない深い理解を促進します。
実践的なスキルの習得:特に資格取得を目指す学生にとって、実践的なスキルを身につけるための重要な機会となります。
学生間および教員との交流:対面での交流を通じて、学習意欲の向上やネットワーキングの機会を提供します。
2. スクーリングの形式と実施方法
スクーリングは多様な形式で実施されており、学生のライフスタイルや学習ペースに合わせて選択可能です:
集中スクーリング:夏期や冬期に連続して行われる集中授業。例えば、法政大学では市ケ谷キャンパスで3日間または6日間の集中授業が行われます。
週末スクーリング:土日や祝日を利用して行われる授業。仕事を持つ社会人学生にとって参加しやすい形式です。
地方スクーリング:全国各地で実施されるスクーリング。例えば、東京通信大学では札幌、仙台、広島、福岡、那覇などの主要都市で実施されます。
オンラインスクーリング:インターネットを利用して自宅から受講できる形式。特に新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン形式が増加しています。
スクーリングの効果
1. 学習効果の向上
対面授業は、学生がその場で質問や疑問を解消できるため、理解度が高まります。また、教員からの直接指導により、学習内容の深い理解が促進されます。
2. 学習意欲の向上
対面での交流は、学生の学習意欲を高める効果があります。特に、同じ目標を持つ仲間との交流は、モチベーションの維持に寄与します。
3. 実践的スキルの習得
資格取得を目指す学生にとって、スクーリングは実践的なスキルを身につけるための重要な機会です。例えば、社会福祉士や精神保健福祉士の資格取得には、現場実習が必須であり、スクーリングを通じて実践的な指導を受けることができます。
4. 柔軟な学習環境の提供
スクーリングは、その場所でしか提供できない学習環境を提供します。例えば、次の4つもそうです。
おすすめ授業 4選|山梨と長野編
1.戦国合戦の虚像を剥ぐ|導入科目:人間と文化(220)
戦国時代の合戦は、後世の軍記物や、講談などの影響により、実態とかけ離れたストーリーで語られています。本講座では、その虚像を検証しながら、実像を明らかにしていきます。(シラバスより)
👉これはご当地ならでは合戦の虚像と実像。
第1回上田原合戦、砥石合戦を読み解く
第2回川中島合戦を読み解く(五回戦説の再検討)
第3回三増合戦の歴史的意義
第4回武田・徳川の今川攻めを検証する
第5回三方原合戦を読み解く
第6回長篠合戦を読み解く
第7回小牧・長久手合戦を読み解く
第8回戦国合戦の謎解きの困難さと可能性
👉担当の平山先生は幼少期から武田家に興味を持ち小学校の自由研究は「武田家滅亡」とのこと。
2.ワインの基礎知識|専門科目:社会と産業(320
ワインの原料である「ぶどう」、アルコールを造る「酵母」やワイン醸造法等の基礎知識だけでなく、後半には、実際のワイン醸造現場でテイスティングなどの実習があります。
第1回ワインとブドウ
第2回ワイン醸造と微生物
第3回海洋酵母ワインと赤池幻酵母ワイン、開府500年スパークリングワイン
第4回ワインと健康
第5回日本ワインについて
第6回ワインのテイスティングについて
第7回ワイン科学研究センターの説明と見学
第8回ワインの保存方法及びワインを飲むときの正しいマナーについて
http://www.wine.yamanashi.ac.jp/
生命環境学部のワイン科学特別コース(M2までの6年間)|ワイン製造に熱意を持った技術者・研究者の育成
3.信州の地質と災害|導入科目:自然と環境(220)
日本列島の成立過程、さらに信州の地質環境の成立過程と地質環境の中で作られた活断層や、そこで発生する地震災害や土砂災害について学びます。
第1回信州の生活の場と地質環境の概要
第2回プレートテクトニクスと地球の運動
第3回世界と日本列島の地質 その成立過程
第4回信州の地質 −プレート運動による日本列島の骨格の形成
第5回信州の地質 −フォッサマグナと糸魚川-静岡構造線
第6回信州の活断層と地震
第7回信州の地質災害と減災 1
第8回信州の地質災害と減災 2
4.eラーニングコース制作演習|専門科目情報(320)
参加者一人ひとりがeラーニングのコースを制作します。MoodleというLMSシステムを用いて、自分の得意科目の教材と学習内容を確認する小テストを作ります。
第1回eラーニングの基礎/eラーニングコースの体験1
第2回eラーニングコースの体験2
第3回eラーニングシステムの機能
第4回コースの設計
第5回コースの制作1
第6回コースの制作2
第7回コースの制作3
第8回制作したコースを使った学習
https://webmagazine.ouj.ac.jp/morimoto-yosuke202310/
最後に、
面接授業(スクーリング)の効果と意義についてみてみると、あらためて通信制大学やeラーニングでの学びに欠けている事項(物足らなさの背景)であることがわかります。