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日本のアカデミックスキル|背景と展開


背景

日本の大学におけるアカデミックスキルの導入は、学生の学問的能力を向上させるための重要な取り組みとして進められてきました。アカデミックスキルとは、大学での学習や研究に必要な技術や能力を指し、具体的には情報収集、ノートの取り方、レポートや論文の書き方、プレゼンテーションの方法などが含まれます[1][5]。このスキルは、専門分野に特化したものから、全ての学問に共通するもの、さらには学際的なものまで多岐にわたります[1]。


導入の背景|初年次教育の学士課程改革の一環

初年次教育とは「高等学校や他大学からの円滑な移行を図り,学習及び人格的な成長に向け,大学での学問的・社会的な諸経験を成功させるべく,主に新入生を対象に総合的につくられた教育プログラム」(中央教育審議会 2008)とされ、その導入は大学全体の96.1%(2018年)に及ぶ。

大学における教育内容等の改革状況について H26 文部科学省
  1. 学問的基礎力の強化:
    多くの大学では、学生が大学での学びを効果的に進めるために必要な基礎的な学問スキルが不足していることが課題とされてきました。特に、情報収集や論文執筆、批判的思考などのスキルは、大学での学びの基盤となるため、初年次教育での導入が進められています。👉その一方、高校までの「総合的な学習」と大差なく、学習意欲の低下も指摘されている。

  2. 社会的要請:
    現代社会では、複雑な問題を解決するための多角的な視点や柔軟な思考能力が求められています。これに対応するため、大学教育においてもアカデミックスキルの習得が重視されるようになりました[8][11]。

  3. 国際的な教育基準への対応:
    アメリカなどの海外の大学では、初年次教育としてアカデミックスキルのトレーニングが一般的に行われており、日本の大学もこれに倣って導入を進めています[6]。

大学別の事例

1. 北海道大学

北海道大学では、アカデミックスキルに関する講義が充実しており、講義ノートの取り方や専門書の読み方、情報収集の方法、レポート・論文の書き方、プレゼンテーションの方法などが教えられています[1]。これにより、学生は学問的な基礎力を身につけ、卒業研究やその後の学問活動に役立てています。

2. 慶應義塾大学

慶應義塾大学の教養研究センターでは、「アカデミック・スキルズ」という科目が設置されており、学生が自ら考え、調べ、論ずる力を養うことを目的としています。この授業は少人数セミナー形式で行われ、学生の自主性を尊重しながら、知的関心を活性化させる内容となっています[4]。また、年度末には論文とプレゼンテーションのコンペティションが実施され、学生の学びの成果を発表する場が設けられています。

3. 江戸川大学

江戸川大学では、「アカデミック・スキル演習」という科目が設置されており、情報コミュニケーション技術(ICT)の活用や日本語表現の基礎から応用までを学ぶことができます。また、自由に使える自主学習スペース「アクティブ・ラーニング・スタジオ」が設けられ、学生一人ひとりのレベルに応じたサポートが行われています[5]。

4. 日本大学

日本大学危機管理学部では、初年次教育科目として「アカデミック・スキルズ」が必修となっており、学生が大学での主体的な学びに対応するための能力を身につけることを目指しています。この科目では、災害や事故に遭遇した際の適切な行動を学ぶロールプレイなども取り入れられています[8][11]。

5. 同志社大学

同志社大学では、ラーニング・コモンズの専属スタッフがレポートの書き方や先生へのメールの書き方など、大学での学びに役立つセミナーを開催しています。これらのセミナーは対面とオンラインの両方で実施され、学生が参加しやすい環境が整えられています[10]。

まとめ

日本の大学におけるアカデミックスキルの導入は、学生の学問的基礎力を強化し、社会的要請に応えるための重要な取り組みとして進められています。各大学では、初年次教育を中心にアカデミックスキルのトレーニングを行い、学生が主体的に学び、成長できる環境を整えています。これにより、学生は大学での学びを効果的に進めるための基礎力を身につけ、卒業後の社会での活躍にもつながることが期待されています。

Citations:
[1] https://mbp-japan.com/kyoto/kyotocommunitas/column/2615130/
[2] https://www.jstage.jst.go.jp/article/tfu/16/0/16_41/_pdf
[3] https://www.keinet.ne.jp/teacher/media/guideline/backnumber/17/0708/seicho.pdf
[4] https://lib-arts.hc.keio.ac.jp/education/culture/academic.php
[5] https://www.edogawa-u.ac.jp/facility/kyouyou/skill.html
[6] http://sfi-npo.net/ise/quality_education/no2_downloadfile_8.pdf
[7] https://www.nihon-u.ac.jp/risk_management/pdf/about/curriculum/2023undergraduate_catalog.pdf
[8] https://www.nihon-u.ac.jp/risk_management/about/curriculum/
[9] https://www.nihon-u.ac.jp/risk_management/pdf/about/curriculum/undergraduate_catalog.pdf
[10] https://www.doshisha.ac.jp/event/detail/001-7cQaed.html
[11] https://www.nihon-u.ac.jp/risk_management/about/subjects/
[12] https://www.nihon-u.ac.jp/risk_management/pdf/about/disclosure/gakusoku2.pdf
[13] https://note.com/inspirehigh/n/n4103c3530f03
[14] https://core.ac.uk/download/pdf/196730093.pdf
[15] https://kanagawa-u.repo.nii.ac.jp/record/2118/files/51-10.pdf
[16] https://www.hitachi-solutions-create.co.jp/case/nihon/
[17] https://tobitate-mext.jasso.go.jp/news/detail.html?id=346
[18] https://www.gakushuin.ac.jp/univ/let/top/publication/KE_70/KE_70_005.pdf
[19] https://www.nihon-u.ac.jp/fd-center/media/application/fdguidebook/learningguide/learning2014.pdf